教養・コラム

「奪う人(テイカー)」を静かに切れ

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親切な顔をして近づく「偽善のテイカー」を疑え

世の中には、驚くほど自然に他人の時間やエネルギーを奪っていく人間がいる。アダム・グラントが『GIVE & TAKE』で警鐘を鳴らす「テイカー(奪う人)」は、必ずしも露骨な悪人とは限らない。むしろ、最初は非常に愛想が良く、魅力的な人物としてあなたの前に現れることが多い。彼らは自分の利益を最大化するために、誰が「カモ」になり得るかを嗅ぎ分ける天賦の才を持っているのだ。

彼らの最大の特徴は、手に入れるまでは熱心に「ギバー(与える人)」を演じるが、一度目的を達成したり、相手に利用価値がないと判断したりした瞬間に、その態度を一変させる点にある。この「豹変」こそが、「テイカー(奪う人)」を見極めるための最も確実なサインだ。土曜日の夜、過去にあなたを利用して去っていった誰かの顔が浮かぶなら、それはあなたの直感が正しく機能していた証拠である。

テイカーは上に媚び、下を叩く

「テイカー(奪う人)」を識別するもう一つの有力な指標は、自分より立場が上の人間と、下の人間に対する態度の差だ。グラントはこれを「キス・アップ、キック・ダウン」と呼ぶ。彼らは権力者に対しては驚くほど卑屈に、あるいは巧みに取り入るが、自分に利益をもたらさないと見なした部下やサービススタッフに対しては、冷淡で傲慢な態度を隠そうとしない。

もし、ある人物があなたには親切だが、レストランの店員には不遜であるなら、その親切は偽物だ。それはあなたを「将来の獲物」としてキープしているに過ぎない。人間性の本質は、損得勘定が働かない相手への接し方にこそ現れる。「テイカー(奪う人)」という名のウイルスを自分の人生に侵入させないためには、こうした細かな違和感を見逃さない冷徹な観察眼が必要だ。

善意の無駄遣いをやめ、戦略的に「ドアを閉める」

「テイカー(奪う人)」を一度でも招き入れてしまうと、彼らはあなたの親切を「当然の権利」として要求し始める。ここで「断ったら申し訳ない」という罪悪感を抱くことこそが、搾取される「失敗するギバー(与える人)」が陥る最大の罠だ。「成功するギバー(与える人)」は、相手がテイカーであると確信した瞬間に、その人物に対するギブを即座に停止する。議論も説得も必要ない、ただ静かに「ドアを閉める」のだ。

ドアを閉めることは、冷酷な行為ではない。限られた自分のリソースを、本当に価値を共有できる人々――つまり他の「ギバー(与える人)」や「損得勘定の人(マッチャー)」に集中させるための「誠実な決断」である。「テイカー(奪う人)」に注いでいたエネルギーを回収し、それを正しい相手へ再投資すること。この大胆な断捨離こそが、あなたの人生の質を劇的に向上させるターニングポイントとなる。

孤独な勝者ではなく、ギバーのコミュニティを築け

「テイカー(奪う人)」を排除した後に残るのは、互いに助け合い、高め合える「ギバー(与える人)のコミュニティ」だ。「テイカー(奪う人)」が去った後のネットワークは、驚くほど透明度が高まり、情報の循環もスムーズになる。一人の天才的な「テイカー(奪う人)」が組織を支配する時代は終わり、現在は、信頼に基づいた強固なチームを率いる「戦略的ギバー(与える人)」が、最後に笑う構造になっている。

日曜日の朝を迎える前に、あなたのスマートフォンの連絡先を眺めてみてほしい。そこには、あなたの成功を心から喜び、エネルギーを分け合える人間が何人いるだろうか。ドアを閉める勇気を持つことは、新しい、より豊かな世界を開くための鍵となる。誰に与え、誰を拒絶するか。その選別こそが、あなたが「自分という資本」を守り抜くための最後の教えである。

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