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暴落というギフト【『JUST KEEP BUYING』5/6】

kotukatu
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資産が半減する恐怖に冷静でいられるか

非課税制度の恩恵を受け、多くの人が「長期・分散・積立」という投資の王道に足を踏み入れた。右肩上がりの相場が続くうちは、誰もが自分の投資判断は正しかったと信じ、毎日少しずつ増えていく資産残高の画面を見て微笑むことができる。しかし、資本主義の歴史において、果てしなく続く晴天など存在しない。近い将来、私たちは必ず数年に一度の「暴落」という名の猛烈な嵐に見舞われることになる。

自分の労働対価として心血を注いで積み上げた資産が、数日から数週間のうちに半分にまで目減りしていく恐怖を想像してみてほしい。画面上の数字が赤く染まり、SNSのタイムラインが絶望と悲観の言葉で埋め尽くされるとき、あなたはこれまで通り冷静に投資を続けることができるだろうか。暴落は、私たちの資産の額面だけでなく、投資家としての精神の耐久力そのものを冷酷にテストする試練なのである。

現代の日本において、日々の物価高や上がらない給与に対する不安を投資で埋め合わせようとしている人ほど、このショックに対する耐性は低い。手元の資金が溶けていく現実を直視できず、「投資なんてやらなければよかった」という深い後悔とともに、市場から逃げ出したい衝動に駆られるはずだ。私たちが事前に備えるべきは、暴落を回避するテクニックではなく、暴落に直面した際の自分の感情の暴走をいかに制御するかというマインドセットである。

暴落は資本主義が用意した定期的なセールか

『JUST KEEP BUYING』の著者であるニック・マジューリは、市場の歴史的データを紐解き、暴落に対する私たちの認識を根底から覆す。データが示す冷徹な真実によれば、株式市場の暴落とは、富を奪い去る災害ではなく、将来の大きなリターンを手に入れるための「安売りセール」にほかならない。実際に、歴史上のあらゆる大暴落の最中に資産を買い増した投資家は、その後の回復期において最も大きな富を築き上げている。

普段の買い物の際には、お気に入りの商品が半額になっていれば喜んでカートに入れるはずだ。しかし、こと株式市場となると、私たちは価格が下がるほどに購入をためらい、価格が高騰しているときに限って慌てて群がろうとする。これは人間の本能に深く刻まれた「群れから逸れることへの恐怖」が引き起こす、極めて不合理な行動である。

同氏が提唱する戦略は、この人間の本能に対する強力なアンチテーゼである。市場が血を流しているときこそ、私たちは冷静なデータサイエンティストの視点を持たなければならない。世界経済の成長という大前提が崩れない限り、一時的な暴落は企業の本来の価値と市場価格の間に生じた「歪み」でしかない。その歪みを恐怖ではなく「ギフト」として受け取る知性を持てるかどうかが、凡人と賢明な投資家を分ける決定的な境界線となるのだ。

狼狽売りという最悪の選択をいかに回避するか

暴落時に私たちが犯しがちな最も致命的なミスは、恐怖に耐えきれずに資産を投げ売りしてしまう「狼狽売り」である。人間の脳は、同額の利益を得たときの喜びよりも、損失を被ったときの痛みを約2倍強く感じるようにできている。そのため、下落相場に直面すると、これ以上の痛みを避けたいという自己防衛本能が働き、論理的な思考が完全に停止してしまうのだ。

一度市場から退場してしまうと、私たちは二重の損失を被ることになる。ひとつは下落した価格で売却を確定させることによる直接的な損失であり、もうひとつは、その後に必ず訪れる市場の急回復による利益を取り逃がすという「機会損失」である。投資の歴史において、最も大きなリターンをもたらす「稲妻が輝く瞬間」は、大暴落の直後の深い絶望の中に突然やってくることが多い。

SNSを開けば、「今すぐ売れ」「これからさらなる底なし沼が来る」という扇情的なインフルエンサーの声が溢れているだろう。しかし、彼らの予言が歴史的なデータに勝ったことは一度もない。暴落の底を見極めることは誰にもできないからこそ、私たちは市場に居座り続けなければならない。恐怖というノイズをいかに遮断し、自らの手足を縛り付けてでも「売る」というボタンから指を遠ざける仕組みを持てるかどうかが問われているのである。

絶望の淵でただ買い続ける規律を持てるか

「JUST KEEP BUYING(ただ買い続ける)」。本書のタイトルであり最大のメッセージであるこの言葉の真価が問われるのは、好景気で市場が湧いているときではない。保有資産が音を立てて崩れ落ち、周囲の誰もが株を手放しているその絶望の淵で、それでもなお給与の一部を淡々と市場へ投じ続けることができるかという規律のテストなのだ。

この規律を守り抜くためには、投資を単なる「お金増やしゲーム」ではなく、自分の人生を豊かにするための「長期的なプロジェクト」として再定義する必要がある。数十年後の自分が経済的な自由を手にするための旅路において、現在の大暴落は、ほんの一瞬の乱気流にすぎない。大きく引いた視点を持つことで、目の前の赤い数字は、いずれ笑い話になる通過点へと変わっていく。

データはすでに答えを出している。暴落はいつか必ず終わり、市場は再び史上最高値を更新していく。その未来を信じ抜く力こそが、投資における最強の武器となる。私たちは、暴落という厳しい冬の時代にどれだけ多くの種を蒔けるかによって、将来収穫できる果実の大きさを決めているのだ。どんなに猛烈な嵐のなかでも、決して買いの手を止めない。それこそが、資本主義の恩恵を最大限に享受するための、最も美しく合理的な生存戦略である。

画面を閉じて嵐をやり過ごすための儀式はあるか

どれほど強靭なマインドセットを持っていたとしても、暴落の最中に毎日証券アプリの画面を眺めていれば、いずれ精神はすり減ってしまう。データという理性を感情が上回りそうになったとき、私たちに必要となる物理的なアクションは、ただ一つである。それは「画面を閉じ、市場から意図的に距離を置く」ということだ。

株価の動きは私たちのコントロールの及ばない領域だが、自分の時間を何に使うかは完全に自分自身でコントロールできる。暴落のショックを和らげ、ただ買い続けるという規律を守るためには、投資とは全く無関係の「心を整えるための儀式」を用意しておくことが極めて有効である。

たとえば、スマートフォンを伏せ、手回しのミルで上質なコーヒー豆を挽き、ゆっくりとお湯を注ぐ時間に没頭してみてはどうだろうか。部屋に広がる深い香りと、お湯が落ちる静かな音は、暴落というノイズで荒れ狂う心に確かな静寂を取り戻してくれるはずだ。市場が悲鳴を上げているときこそ、美味しいコーヒーを淹れ、お気に入りの本を読み、家族と豊かな時間を過ごす。この「何もしないという極上の選択」ができる人こそが、最終的に市場という戦場の勝者になるのである。

『JUST KEEP BUYING』シリーズ (全6回)

貯金よりも収入を優先すべき理由【『JUST KEEP BUYING』1/6】
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罪悪感なしにお金を使う技術【『JUST KEEP BUYING』2/6】
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個別株というギャンブルを捨てる勇気【『JUST KEEP BUYING』3/6】
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一括投資が分割投資に勝る理由【『JUST KEEP BUYING』4/6】
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お金から自由になるための出口戦略【『JUST KEEP BUYING』6/6】
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