誰かに褒められるための人生を捨てろ【『嫌われる勇気』4/6】
誰かの期待を満たすために仕事をしていないか
現代社会において、私たちは常に他者からの評価に囲まれて生きている。職場で上司から優秀だと褒められること、SNSで多くのいいねや称賛を集めること。効率的に成果を上げようとするビジネスパーソンにとって、他者から認められることは自分の価値を証明するための最もわかりやすい指標となっている。私たちは、誰かから褒められるために努力し、期待に応えることを人生のモチベーションにしているのだ。
しかし、他者から認められたいという欲求をエネルギーにして生きている限り、私たちが真の自由や幸福を手にすることは絶対にない。褒められることを目的としているとき、私たちは無意識のうちに他者の価値観や、他者が設定したレールの上を歩かされている。それは一見すると社会的に成功しているように見えても、実のところ自分の人生のハンドルを他人に明け渡している状態に過ぎないのだ。
承認欲求は他者の人生を生きる奴隷への道
岸見一郎および古賀史健は著書『嫌われる勇気』の中で、アドラー心理学の観点から承認欲求を明確に否定し、他者の期待を満たすために生きることは、他者の人生を生きることに他ならないと厳しく指摘している。
承認欲求にとらわれている人は、常に他者の視線に怯えている。他者の期待から外れることを恐れ、本当はやりたくないことを引き受け、自分の本心を押し殺して生きるようになる。誰からも嫌われないように八方美人に振る舞うことは、自分に嘘をつき、周囲の人々にも嘘をつき続ける極めて不自由な生き方である。他者から褒められるという報酬に依存している限り、私たちはいつまでも評価者の奴隷として生き続けるしかないのだ。
褒めることも叱ることも上下関係の操作である
さらにアドラー心理学は、他者を褒めるという行為そのものの背後にある危険性を暴いている。同氏らによれば、褒めるという行為は、能力のある人が能力のない人に対して下す評価であり、そこには相手を自分より下に置き、操作しようとする目的が隠されている。親が子供を褒めるのも、上司が部下を褒めるのも、本質的にはアメとムチを使った縦の人間関係のコントロールに過ぎない。
私たちが目指すべきは、他者と優劣を競い合う縦の関係ではなく、それぞれが違う能力を持ちながらも対等であるという横の関係を築くことである。そこでは、褒めるという上からの評価の代わりに、ありがとうという対等な感謝の言葉だけが存在する。評価されたから価値があるのではなく、ただそこに存在し、他者に貢献しているという事実だけで、私たちはすでに十分な価値を持っているのである。
評価を手放し自分の価値を自ら決められるか
あなたが必死に手に入れようとしている他者からの評価は、本当にあなたの人生を豊かにしているのだろうか。私たちが息苦しい他人の視線から自由になるためには、褒められたいという根源的な欲求を意図的に切り捨て、誰にどう思われようと自分の信じる道を選ぶマインドセットが不可欠である。
外部からの評価に依存せず、真の自律性を手にするための科学的な指針として、報酬という古いシステムを否定し、自らの内側から湧き上がる目的意識こそが最高のパフォーマンスを生み出すことを証明した世界的ベストセラー、ダニエル・ピンクの『モチベーション3.0』へと手を伸ばしてみてはどうだろうか。他人の評価という名の報酬を捨てたとき、私たちは初めて自由になる。その一冊が、あなたを他者の人生から解放し、自分自身の人生を取り戻す静かなきっかけとなるはずだ。
『嫌われる勇気』シリーズ (全6回)




