睡眠不足という名の「集団酩酊」について
睡眠不足、愚か者の勲章
「昨日は3時間しか寝てないよ」。
オフィスのコーヒーメーカーの前で、目の下にどす黒いクマを作った男が、コーヒーを啜りながら自慢げに語る。皆さんも一度はこんな光景を目にしたことがあるはずだ。あるいは、自分自身がその人だったかもしれない。
彼は決して「辛い」と言っているのではない。言葉の裏で「俺はこれだけ会社に尽くしている」「俺は誰よりも忙しく、重要な人物だ」と誇示しているのだ。周囲もまた、それを心配するふりをしながら、どこか称賛の眼差しで見つめる。「あの人はハードワーカーだ」「やる気がある」と。だが、私たちは冷静になって、この茶番劇を観察する必要がある。
彼は本当に「優秀」なのだろうか? 午後2時の会議での彼を見てみればいい。うつろな目で資料を眺め、単純な数字のミスを見落とし、クリエイティブな提案など一つも出てこない。彼はただ、椅子に座って酸素を消費しているだけの「機能不全に陥った有機物」になり果てている。
私たちは「忙しさ」をステータスシンボルだと勘違いし、睡眠不足をその勲章のように見せびらかしている。だが、客観的に見れば、それは「私は自分の時間管理も、体調管理もできない無能です」と自己紹介して回っているに等しい。
酔っ払いが運転するオフィス
科学的な事実は、私たちの目を覚まさせるのに十分すぎるほど残酷だ。
グレッグ・マキューンの著書『エッセンシャル思考』の中で引用されている研究によれば、1週間の睡眠不足(平均4〜5時間睡眠)が続くと、人間の脳機能は血中アルコール濃度0.1%の状態と同等まで低下する。
これは法的に見れば完全に「酒気帯び運転」で検挙されるレベルであり、認知能力や判断力は著しく低下している。
もし同僚が朝からウィスキーのボトルをラッパ飲みしながら「さあ、この重要な契約書をチェックするぞ」と言ったら、私たちは全力で止めるだろう。「正気か? 会社を潰す気か?」と。
だが、睡眠不足の人間には平気で仕事を任せてしまう。それどころか、徹夜明けの人間を「責任感が強い」と評価さえする。結果として、酔っ払い同然の脳みそが下した誤った判断の尻拭いのために、さらに多くの残業が発生する。これこそが、現代のオフィスにはびこる狂気だ。
「寝る」という能動的な戦略
多くの人は、睡眠を「今日やることが終わったあとに、余った時間でするもの」と考えている。これは完全に間違っているかもしれない。エッセンシャル思考において、睡眠は「明日、最高のパフォーマンスを出すための事前準備」だ。
例えば、F1のピットストップと同じだ。タイヤを交換しなければ、レースには勝てない。睡眠を削って働くというのは、ピットインを惜しんで摩耗したタイヤで走り続け、最終的にバーストしてリタイアする三流ドライバーのすることだ。
もし「忙しくて寝る時間がない」と言う人がいれば、それはタイムマネジメント能力が欠如している証拠でしかないのかもしれない。やるべきことが多すぎるのではない。「やらなくていいこと」を捨てきれていないのだ。深夜のメールチェック、ダラダラと続くネットサーフィン、生産性のない二次会。すべきことは、それらを全てゴミ箱に捨てて、ベッドに潜り込むことだ。
「寝てない自慢」をする声には、静かに耳を塞げばいい。「自分の脳を管理できていない」という告白に付き合う必要はない。私たちは違うはずだ。プロフェッショナルでありたいと願うなら、自分自身の手入れを怠ってはいけない。
今夜は8時間寝よう。それが、明日私たちが世界と戦うための最強の武器になるのだから。
