WORK
PR

他者を競争相手だと見なしていないか【『嫌われる勇気』2/6】

kotukatu
本ページはプロモーションが含まれています

なぜ他人の成功を素直に喜べないのか

ビジネスの現場において、私たちは常に他者との比較の目に晒されている。同期の出世スピード、同僚の営業成績、あるいはSNSで目にする他人の華やかなライフスタイル。少しでも早く成功を手にしたいと願う人ほど、自分と他人を比較し、相手よりも優位に立つことに莫大なエネルギーを注ぎ込んでいる。

しかし、この比較と競争のゲームに参加し続けている限り、どれだけ高い成果を上げようとも心が休まることはない。同僚がプロジェクトを成功させたというニュースを聞いたとき、心からの祝福よりも先に、自分が遅れをとったような焦りや嫉妬を感じたことはないだろうか。他者の成功を自分の敗北のように感じてしまうこの息苦しさは、私たちが無意識のうちに抱えているある深刻な思い込みから生じている。

すべての悩みは対人関係に帰結する

哲学者・心理学者の岸見一郎とライターの古賀史健は、共著『嫌われる勇気』の中で、アドラー心理学の観点から、人間の抱えるすべての悩みは対人関係の悩みであると断言している。仕事の悩みであれ、将来への不安であれ、もしこの世界に自分以外の他者が一人も存在せず、宇宙空間にただ一人で生きているのであれば、あらゆる悩みは消滅するからだ。私たちが苦しんでいるのは、仕事そのものの難易度ではなく、その仕事を通じて他者からどう評価されるか、他者より劣っていると思われないかという対人関係の摩擦なのである。

そして、その対人関係を最も泥沼化させる原因が、競争という概念である。同氏らによれば、人間関係の軸に競争を置いてしまうと、人は必然的に他者を敵と見なすようになる。Aさんは私より優秀だ、Bさんには勝っているというように、常に誰かと勝敗を競い合う世界では、周囲の人間はすべて自分を陥れようとする、あるいは出し抜こうとする油断のならない敵となってしまうのだ。

競争という軸が世界を敵だらけにする

競争の最も恐ろしいところは、勝者になろうが敗者になろうが、精神的な安らぎが永遠に訪れないことである。競争のレールに乗り続ける限り、敗者は強烈な劣等感に苛まれ、勝者はいつか誰かに引きずり下ろされるのではないかという恐怖に怯え続けなければならない。他者の成功を喜べないのは、その他者の成功が自分への脅威として迫ってくるからだ。

この不毛な競争から抜け出す唯一の方法は、他者と同じ平らな地平を歩いているのだと認識を改めることである。誰かと競い合うためではなく、ただ今の自分よりも前に進もうとする健全な向上心だけを持つことだ。他者を蹴落とすべき競争相手ではなく、同じ平らな道をともに歩む仲間だと見なすことができたとき、世界は恐ろしい戦場から、信頼と協力が生まれる豊かな場所へと一変する。

比較を捨てて他者を信頼し協力できるか

あなたが職場の人間関係に疲弊し、他人の成功に焦りを感じているのは、世界を競争という歪んだレンズを通して見ているからに他ならない。私たちが真の心理的安全性と持続可能なパフォーマンスを手にするためには、優劣を競う縦の人間関係からきっぱりと降り、他者を仲間として信頼するマインドセットが不可欠である。

競争から協力へと視座を転換するための具体的な指針として、他者を競争相手と見なして奪い合うのではなく、惜しみなく他者に与えることこそがネットワーク社会における最強の生存戦略であることを科学的に証明した名著、アダム・グラントの『GIVE & TAKE』へと手を伸ばしてみてはどうだろうか。比較と競争から降り、目の前の相手を信頼すること。その一冊が、あなたの職場を戦場から協力の場へと静かに、しかし確実に変えていくはずだ。

『嫌われる勇気』シリーズ (全6回)

過去のトラウマという便利な言い訳【『嫌われる勇気』1/6】
過去のトラウマという便利な言い訳【『嫌われる勇気』1/6】
他人の機嫌はあなたの責任ではない【『嫌われる勇気』3/6】
他人の機嫌はあなたの責任ではない【『嫌われる勇気』3/6】
誰かに褒められるための人生を捨てろ【『嫌われる勇気』4/6】
誰かに褒められるための人生を捨てろ【『嫌われる勇気』4/6】
自分の評価ばかり気にするという病【『嫌われる勇気』5/6】
自分の評価ばかり気にするという病【『嫌われる勇気』5/6】
人生は未来のための準備期間ではない【『嫌われる勇気』6/6】
人生は未来のための準備期間ではない【『嫌われる勇気』6/6】
記事URLをコピーしました