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「エコ」の正体は、史上最大の環境破壊である。銅を喰らう脱炭素の闇【『Material World』3/3】

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世界一高いビルを「飲み込む」穴

チリのアタカマ砂漠には、人類が地球に刻んだ史上最大級の傷跡がある。チュキカマタ銅山だ。その穴はあまりに巨大で深く、世界一高いビル「ブルジュ・ハリファ(828m)」を放り込んでも、すっぽりと飲み込まれて先端すら見えなくなる。

エド・コンウェイは『Material World』の取材でこの地に立ち、絶句する。だが、もっと恐ろしいのは、この穴が今も広がり続けている理由だ。100年前、ここの岩石には高濃度の銅が含まれていた。だが今は、含有率がわずか0.6%程度の「ゴミのような石」を大量に掘り出し、砕き、化学薬品で溶かして、やっと一握りの銅を得ている。私たちは、より薄いコーヒーを淹れるために、より大量の豆を挽き続けているようなものだ。そして、そのアクセルを踏んでいるのは、皮肉にも「環境保護」を叫ぶ私たち自身である。

「クリーン」とは「猛烈に掘る」ことだ

「脱炭素」「グリーンエネルギー」という言葉は、清潔で美しい響きを持つ。しかし、その物理的な実体は、過去のどの時代よりも「ダーティ」な採掘だ。風力発電のタービンを作るには鉄塔とコンクリートが、電気を運ぶ送電網には大量の銅が、EVのバッテリーにはリチウムが必要になる。

事実、電気自動車(EV)は、ガソリン車の数倍もの銅を使用する。コンウェイの試算によれば、ネットゼロ(実質排出ゼロ)を達成するためには、今後数十年で、人類がこれまでの5000年の歴史で採掘してきた総量以上の銅を掘り出さなければならない。石油を燃やすのをやめる代償として、私たちは地球の表面をかつてない規模で削り取り、酸で溶かすことになる。二酸化炭素という「見えないガス」を減らすために、採掘という「目に見える破壊」を加速させる。これが、私たちが選んだ「エコ」の正体であり、避けられないトレードオフだ。

「神の愛の次に偉大なもの」の対価

それでも私たちは、穴を掘るのをやめないだろう。かつてテネシー州の農夫は言った。「地上で最も偉大なものは、心にある神の愛だ。その次に偉大なものは、家にある電気だ」。この言葉通り、電気は私たちの生活を根底から変えた。そして、その電気を操る唯一の鍵が「銅」なのだ。

銅には魔法がある。磁石を銅の板に落とすと、レンツの法則により、まるで重力が消えたかのようにふわリと落ちていく。この電磁気的な特性こそが、発電機を回し、モーターを動かし、現代文明を駆動させる魂だ。AIが進化し、データセンターが増えれば増えるほど、この赤茶色の金属への渇望は高まる。私たちは「神の愛の次に偉大なもの」を維持するために、今日も地球の裏側でダイナマイトを爆破し続けている。

唇で「物理法則」を味わえ

スマホを充電する時、あるいはEVが静かに走り出す時、そのエネルギーが「何もない空間」から来ていると思わないでほしい。それは、チリの砂漠に穿たれた巨大な穴、粉砕される岩石、そして汗と油にまみれた重機たちが支えている。

この「物質の重み」を忘れないために、私はデスクで『新光金属の純銅タンブラー』をよく使っている。プラスチックやガラスとは違う。冷たい水を注ぐと、銅の驚異的な熱伝導率によって、瞬時に器全体が氷のように冷たくなる。唇に触れた瞬間、脳に突き抜けるような冷気。それは、電気が銅線を駆け抜けるスピードと同じ物理法則だ。この強烈な触感こそが、マテリアル・ワールド(物質世界)の手触りだ。私たちは、汚れることなしに綺麗ではいられない。その冷徹な矛盾を、冷えた銅の器と共に飲み干せ。

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