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選択の代償から逃げていないか【『不完全主義』3/6】

kotukatu
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決断を先送りにしてしまう本当の理由

キャリアの方向性を変えるべきか、今の人間関係を続けるべきか。私たちは人生の重要な岐路に立たされたとき、無意識のうちに決断を先送りにしようとする。もう少し情報が集まれば完璧な答えが見つかるはずだ、今はまだタイミングが悪いだけだと自分に言い聞かせ、現状維持という安全なシェルターに逃げ込んでしまうのだ。タイパを重視し、失敗を極端に恐れる現代人ほど、絶対に後悔しない第三の選択肢がどこかから降ってくるのを待ち続けてしまう。

しかし、いつまで待っても痛みのない完璧な選択肢など現れない。決断を先延ばしにしている状態は、一見すると可能性を残しているように見える。しかし実際には、時間を無駄に浪費し、自分の人生の主導権を放棄しているに過ぎない。私たちが本当に恐れているのは、間違った選択をすることではなく、選んだ結果として生じる痛みを引き受けることそのものなのだ。

すべての選択には必ず代償が伴う

オリバー・バークマンは著書『不完全主義』の中で、有限である人間にとって、すべての選択は必然的にトレードオフであり、代償を伴うものであると鋭く指摘している。今この瞬間、ある一つの道を選ぶということは、それ以外の無数の魅力的な道を永遠に放棄することと同義である。週末に新しいビジネスの勉強に時間を使えば、家族とくつろぐ時間は失われる。どちらを選んでも、必ず何かを失う痛みが伴うのだ。

私たちが決断を下せないのは、この痛みを回避しようとするからである。どうすれば代償を払わずに済むかという不可能なパズルを解こうとして、思考がフリーズしてしまうのだ。しかし、同氏がアメリカの心理療法士の言葉を借りて述べるように、私たちは自分の好きなように行動して構わないのである。ただし、その代償を引き受ける覚悟が必要だ。

できないのではなく代償を払いたくないだけ

この事実を受け入れると、私たちが普段口にしているできないという言葉の本当の意味が見えてくる。今の仕事を辞めることはできない、あるいは、忙しくて自分のやりたいことに時間を使えないと私たちは言う。しかし、物理的に不可能なのではない。本当は、仕事を辞めた後の経済的な不安や、他人の期待を裏切るという代償を払いたくないだけなのだ。

これは決してあなたを責めているわけではない。代償を天秤にかけた結果、今は現状維持の代償のほうが安いと判断したのなら、それは立派な決断である。重要なのは、自分には選択肢がないという被害者のような思い込みを捨て、実は自分が意図的にその選択をしているのだという主体性を取り戻すことだ。この視点の転換こそが、息苦しい現実の中にコントロール感を取り戻す唯一の方法である。

代償を引き受け自らの人生を選択できるか

冒頭の問いに戻ろう。あなたが決断を避けているその問題は、情報が足りないからではなく、単にどちらの代償を払うかを決めていないだけではないだろうか。私たちが自分の人生を生きるためには、痛みのない完璧な選択肢など存在しないという不完全な現実を受け入れ、代償を払ってでも手に入れたいものを選ぶマインドセットが不可欠である。

ヴィクトール・E・フランクルによる歴史的名著『夜と霧』は、この覚悟を決めるための強靭な支えとなる一冊だ。強制収容所という極限状態にあっても、自らの態度を選ぶ自由だけは誰にも奪えないことを証明している。あなたはまだ、代償を恐れて何もしないという選択肢に留まり続けるつもりだろうか。

『不完全主義』シリーズ (全6回)

いつかすべて片付くという幻想【『不完全主義』1/6】
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完璧なシステムという現実逃避【『不完全主義』2/6】
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生産性という名の借金を抱えていないか【『不完全主義』4/6】
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完璧な自分を演じることに疲れていないか【『不完全主義』5/6】
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