手に入れた瞬間に情熱が冷める理由【『もっと!』3/6】
なぜ手に入れた途端に色褪せて見えるのか
ずっと欲しかった最新のガジェット、憧れていた企業への転職、あるいは熱烈に惹かれた相手との交際。私たちはそれらを手に入れる前、これさえ手に入れば自分の人生は完璧に満たされるはずだと固く信じている。しかし、いざそれを自分のものにした瞬間、あんなに燃え上がっていた情熱が嘘のように冷め、ただの日常の風景の一部になってしまったという経験はないだろうか。
次から次へと新しい刺激や目標を消費していく現代人は、この手に入れた瞬間に飽きるという現象を当たり前のこととして受け入れている。しかし、常に新しいものを追い求め、今持っているものに価値を見出せなくなるこのサイクルは、私たちの精神を確実にすり減らしていく。なぜ私たちは、目の前にある現実の豊かさを素直に味わうことができないのだろうか。
脳は「未知の未来」にしか反応しない
精神科医のダニエル・Z・リーバーマンとマイケル・E・ロングは、共著『もっと!』の中で、この情熱の賞味期限の短さを、脳内の未来を追い求める物質のメカニズムから明確に説明している。この物質は、まだ手に入れていない未知のものや、遠い未来の可能性に対してのみ強く分泌されるシグナルである。相手を振り向かせようと必死になっているときや、手に入るかどうかわからないスリルの中にあるとき、この物質は私たちに強烈な快感とエネルギーを与える。
しかし、その対象が完全に手に入り、未知が既知へと変わった瞬間、その役割は終わる。両氏によれば、未来を追い求めるこの物質は、現在すでに存在しているものに対しては一切の関心を持たない。情熱が冷めるのは、あなたの性格が冷たいからでも、手に入れた対象の価値が下がったからでもない。単に、脳内の化学物質が未来から現在へと切り替わる際の、避けられない生理的なバグに過ぎないのだ。
現在志向の物質への切り替えがカギとなる
この終わりのない渇望のサイクルから抜け出すためには、未来を追う興奮状態から、今ここにある現実を味わうための現在志向の化学物質へと、脳のモードを意図的に切り替える必要がある。現在志向の物質とは、目の前の食事を楽しんだり、他者との穏やかなつながりに深い充足感を得たりするときに分泌される物質のことだ。
未来を追い求める物質がもたらす熱狂は、花火のように激しく美しいが、決して長続きはしない。仕事のプロジェクトであれ、人間関係であれ、初期の興奮が冷めた後にそれを長期的な財産として育てていくためには、新しい刺激を求めることをやめ、目の前にある日常の細部に意識を向ける訓練が必要である。常に未来を最適化しようとする視線を下げ、今すでにあるものを大切にメンテナンスする技術こそが、現代人に最も欠けている能力なのだ。
刺激を消費するだけの関係から抜け出せるか
冒頭の問いに戻ろう。次々と新しい目標や対象に乗り換え続ける人生は、一見すると活動的で豊かに見えるかもしれない。しかしそれは、脳内の化学物質の奴隷となって永遠に満たされない渇きを抱え続ける無間地獄である。私たちが真の充足を得るためには、手に入れることの快感から卒業し、手に入れたものを慈しむという静かなプロセスへと移行しなければならない。
エーリッヒ・フロムによる世界的名著『愛するということ』は、そのための確かな道標となる。愛や情熱を自然に落ちるものではなく、自らの意志と努力で育て上げる技術であると定義し直した一冊だ。効率を求めるこの時代において、一つの対象に留まり深く向き合い続けることは、最も非効率に見える行為かもしれない。しかしそれこそが、アルゴリズムと化学物質に操作されない唯一の思考を育てるのだ。
『もっと!』シリーズ (全6回)




