未来と現在を調和させる究極の知恵【『もっと!』6/6】
未来のために今を犠牲にしすぎていないか
ビジネスの現場で成功を収めるために、私たちは常に未来を見据えて行動している。五年後に独立するための資金を貯める、来月の大型プレゼンを成功させるために今日の睡眠を削る。より良い未来を手に入れるためなら、現在の苦労や退屈は耐え忍ぶべきであるという考え方が、タイパを重視する私たちの社会では美徳とされている。
しかし、未来のために今を犠牲にするという生き方を続けていると、ある重大な問題に直面する。私たちが思い描く完璧な未来は、永遠にやって来ないということだ。一つの目標を達成すれば、すぐまた次の目標が設定され、今日という日は常に未来のための準備期間に格下げされてしまう。私たちはいつになったら、準備をやめて本番の人生を生きることができるのだろうか。
未来を追う機能は決して悪者ではない
精神科医のダニエル・Z・リーバーマンとマイケル・E・ロングは、共著『もっと!』の中で、ここまでの内容で未来を追い求める物質の負の側面を数多く指摘してきた。しかし、両氏はこの未来を追う回路を単なる悪者として排除すべきだとは一言も述べていない。このシステムがなければ、人類は科学を発展させることも、芸術を生み出すことも、過酷な環境を生き延びることもできなかったからだ。
未来の可能性に対してもっと知りたいという好奇心や、もっと社会を良くしたいという情熱は、私たちが前進するための不可欠なエネルギーである。問題なのは、未来を追う機能そのものではなく、それが現在の充足を感じるための脳内物質と完全に切り離され、単独で暴走してしまうことにある。未来への渇望と、現在の充足。この二つは、本来どちらも人間の生にとって欠かせない両輪なのである。
異なる二つのシステムを調和させる
私たちが目指すべき究極の境地は、未来を追う回路と現在志向の回路を調和させることだ。両氏によれば、未来に向かって計画を立て実行する制御のシステムを働かせながら、同時に目の前の作業そのものに没頭し、今ここの喜びを感じる状態こそが、人間の能力を最大化する。職人が仕事に没頭しているときや、アスリートがゾーンに入っているときがまさにそれだ。
未来の目標に向かって努力しながらも、そのプロセス自体を現在の喜びとして味わうこと。結果への執着を手放し、目の前の瞬間に意識を集中させること。この二つの異なる脳内物質のシステムを統合できたとき、私たちは目標達成後の虚無感や、終わりのない消費のサイクルから完全に自由になることができる。未来への希望と現在への感謝は、決して矛盾するものではないのだ。
本当に重要な時間だけを選び取り今を生きられるか
冒頭の問いに戻ろう。あなたが未来の目標ばかりを追いかけ、今日という日をただの通過点として消費しているのなら、それは真の豊かさとは言えない。私たちが本当に手に入れるべきは、すべてを欲しがる本能を静め、未来を創り出しながらも今ここにある現実を深く味わい尽くす、しなやかで力強い調和のマインドセットである。
セネカによる古典的名著『生の短さについて』は、この調和を取り戻すための確かな視座を与えてくれる。未来のための準備に人生の大半を費やしてしまう愚かさを指摘し、今ここにある時間を真に生きることの重要性を説いた一冊だ。今の自分にとって、本当に見つめるべき本質的な価値とは何なのか。その静かな問いを持ったまま、今日の仕事に戻ってみてほしい。
『もっと!』シリーズ (全6回)




