レビュー・紹介

「服の山」が暴く過去の愚行

yworks21@gmail.com

魔法ではなく「ショック療法」

ベストセラー本『人生がときめく片づけの魔法(The Life-Changing Magic of Tidying Up)』。 このタイトルを見て、パステルカラーの収納ボックスや、靴下の可愛らしい畳み方を指南する本だと思っているなら、大きな勘違いだ。 これは「魔法」などという生易しいものではない。これは、あなたの過去の愚かな金銭感覚を物理的に可視化し、精神的な平手打ちを食らわせる、極めて論理的で残酷な「ショック療法」の書である。

著者の近藤麻理恵氏は、片づけのスタートにあたり、ある儀式を要求する。 「家中のあらゆる収納から、すべての服を床に出し、一箇所に積み上げること」。 引き出しごとではない。ハンガーからも外し、一枚残らず床に放り投げるのだ。

「服の山」という現実

やってみればわかる。それは、ホラー映画のワンシーンのような光景になる。 ベッドの上に積み上がった服の山は、優に自分の身長を超えるだろう。 その異様な質量を前にしたとき、多くの人は言葉を失う。 「私はこんなに服を持っていたのか?」

そこにあるのは、単なる衣類の集合体ではない。 タグがついたままのスカート、一度も着ていないセール品のシャツ、毛玉だらけのニット。 その巨大な「服の山」は、あなたが過去数年間にわたって「安かったから」「何となく」「ストレス発散で」買い集めた、思考停止の残骸だ。 それは、あなたの銀行口座から流出した現金の墓標であり、あなたの判断力の欠如を示す動かぬ証拠である。

多くの人が片づけに失敗するのは、引き出しの中という「見えない場所」でちまちまと選別を行うからだ。 それでは、自分がどれほどの量を抱え込んでいるかという現実(全体量)を直視せずに済んでしまう。 著者は、一度すべてを白日の下に晒すことで、私たちに「言い逃れ」を許さない。

過去の自分との決別式

この山を前にして、気分の悪くならない人間はいない。 だが、その「吐き気」こそが必要なのだ。 二度とこんな無駄遣いはしない。二度と管理できない量を持ち込まない。 その強烈な後悔と反省があって初めて、人は「捨てる」という痛みを伴う作業に真剣になれる。

一枚一枚を手に取り、有名な「ときめくか(Spark Joy or not?)」を問うのはその後の話だ。 まずは、床を埋め尽くす「過去の愚行」の山を直視すること。 この本が世界中で支持された理由は、東洋的な神秘性ではない。資本主義に踊らされ、モノに窒息しかけていた現代人に、最も物理的でわかりやすい「解毒剤」を提供したからに他ならない。

今日のコツ:休日は「全出し」から

もし今週末、片づけをしようと思っているなら、収納ケースを買いに行くのはやめることだ。 代わりに、クローゼットの中身をすべて床にぶちまけてみるといい。 そのカオスを前にして、絶望的な気分になるかもしれない。 だが安心してほしい。その絶望こそが、生まれ変わるための、最初の痛みなのだから。

ABOUT ME
記事URLをコピーしました