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資本主義という名の「最も成功した宗教」

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パイは無限に大きくなると信じられるか

中世まで、人類の富に対する考え方は「ゼロサム・ゲーム」だった。富の総量は一定であり、誰かが金持ちになれば、その分だけ誰かが貧乏になる。ゆえに強欲は罪であり、金儲けは卑しいことだと教えられてきた。しかし、近代になって革命的なアイデアが世界を塗り替える。「利益を再投資して生産を増やせば、富のパイ自体が大きくなる」という、成長への信仰である。

『サピエンス全史』の著者であり歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリは、これを現代で最も成功した「宗教」だと呼んでいる。同氏によれば、資本主義はキリスト教や仏教よりも多くの信者を獲得し、世界を劇的に豊かにした。しかし、そこには「成長し続けなければならない」という過酷な条件がある。全員が豊かになれるという物語を信じ続けなければ、このシステムは一瞬で崩壊してしまうのだと著者は指摘する。

止まることを許されないランナー

資本主義の本質は、自転車操業にある。この知の探求者は、私たちは「信用(クレジット)」という物語を共有しているが、このシステムは成長が止まった瞬間に瓦解すると述べている。なぜなら、利子を付けて借金を返済するためには、将来のパイが現在よりも確実に大きくなっているという前提が必要不可欠だからだ。だから、我々は十分豊かなはずなのに、まだ足りないと感じ、働き続け、投資し続けなければならない。

著者は、「このレースにゴールはあるのか?」と問いかけている。我々は幸福になるために成長を目指したはずが、いつの間にか成長そのものが目的になっているのではないだろうか。高速自転車のペダルを死ぬまで漕ぎ続けることを運命づけられている現代人の姿を、同氏は冷徹に指摘する

成長神話という名の「見えない鎖」

さらにハラリは、資本主義こそが歴史上最も強固な宗教であると指摘する。そこでは、キリスト教や仏教は「足るを知れ」と説くのに対して、資本主義は「もっと」と命じる。その上、その教義は驚くべきことに、地球上のほぼすべての人々に浸透しているのだ。

ハラリによれば、私たちが株価指数を神託のように眺め、自分の時間を売ってまで投資を続けるのは、それが唯一の救済だと信じ込まされているからだという。この「成長しなければ死ぬ」という強迫観念が、私たちのライフスタイルを根底から支配しているという視点について、どう感じるだろうか。

豊かさの極北で「空腹」を抱える我ら

資本主義という宗教がもたらした最大の成果は、飢餓の克服ではなく「飽くなき渇望」の定着だったのかもしれない。著者が描くように、私たちは祖先が夢見た「楽園」にすでに立っていながら、次の配当と次のアップグレードを求めて、この瞬間を味わうことを忘れてしまった。

日曜の午後、窓から差し込む陽光にさえ「生産性」というラベルを貼ろうとする自分に気づくとき、私たちは資本主義という神殿の敬虔な信者であることを再確認する。この無限の拡大を命じる神に背き、ただ「足りている」という贅沢な沈黙を捧げることは、果たして可能なのだろうか。その答えを出せないまま、私たちはまた、月曜日という名の「再投資」へ向かっていくのである。

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