「寝てない自慢」は「飲酒運転」の告白だ。エッセンシャル思考と睡眠の技術【『エッセンシャル思考』2/6】
睡眠不足、愚か者の勲章
「昨日は3時間しか寝てないよ」。 オフィスのコーヒーメーカーの前で、目の下にどす黒いクマを作った男が、ブラックコーヒーを啜りながら自慢げに語る。皆さんも一度はこんな光景を目にしたことがあるはずだ。あるいは、過去の自分自身かもしれない。 彼は決して「辛い」と言っているのではない。言葉の裏で「俺はこれだけ会社に尽くしている」「俺は誰よりも忙しく、重要な人物だ」と誇示しているのだ。周囲もまた、それを心配するふりをしながら、どこか称賛の眼差しで見つめる。「あの人はハードワーカーだ」「やる気がある」と。
だが、私たちは冷静になって、この茶番劇を観察する必要がある。 彼は本当に「優秀」なのだろうか。午後2時の会議での彼を見てみればいい。うつろな目で資料を眺め、単純な数字のミスを見落とし、クリエイティブな提案など一つも出てこない。彼はただ、椅子に座って酸素を消費しているだけの「機能不全に陥った有機物」になり果てている。 私たちは「忙しさ」をステータスシンボルだと勘違いし、睡眠不足をその勲章のように見せびらかしている。だが、客観的に見れば、それは「私は自分の時間管理も、体調管理もできない無能です」と自己紹介して回っているに等しい。
オフィスを走る「酔っ払いドライバー」
科学的な事実は、私たちの目を覚まさせるのに十分すぎるほど残酷だ。 グレッグ・マキューンの著書『エッセンシャル思考』の中で引用されている研究によれば、1週間の睡眠不足(平均4〜5時間睡眠)が続くと、人間の脳機能は血中アルコール濃度0.1%の状態と同等まで低下する。 これは法的に見れば完全に「酒気帯び運転」で検挙されるレベルであり、認知能力や判断力は著しく低下している。
もし同僚が朝からウィスキーのボトルをラッパ飲みしながら「さあ、この重要な契約書をチェックするぞ」と言ったら、私たちは全力で止めるだろう。「正気か? 会社を潰す気か?」と。 だが、睡眠不足の人間には平気で仕事を任せてしまう。それどころか、徹夜明けの人間を「責任感が強い」と評価さえする。 結果として、酔っ払い同然の脳みそが下した誤った判断の尻拭いのために、さらに多くの残業が発生する。これこそが、現代のオフィスにはびこる「集団酩酊」という狂気だ。
ピットインしないF1マシンは勝てない
多くの人は、睡眠を「今日やることが終わったあとに、余った時間でするもの」と考えている。これは完全に間違っている。エッセンシャル思考において、睡眠は「明日、最高のパフォーマンスを出すための事前準備」だ。
F1レースを想像してほしい。タイヤが摩耗し、グリップ力を失った状態で走り続けるドライバーがいるだろうか。 「ピットインする時間がもったいないから」といってコースに留まれば、タイムは落ち続け、最終的にはバーストしてリタイアする。 睡眠を削って働くというのは、これと同じだ。すり減った脳というタイヤで走り続けても、良い仕事ができるわけがない。睡眠は敵ではない。ピットストップという名の「戦略」なのだ。
コックピットに「燃料計」を取り付けろ
では、自分のタイヤ(脳)の状態をどうやって知ればいいのか。「昨日はよく寝た気がする」という主観は当てにならない。F1マシンにテレメトリーシステムが必要なように、私たちにも客観的なデータが必要だ。 そのための最強のデバイスが、元F1ドライバーの角田裕毅選手も愛用する『WHOOP(ウープ) 5.0』だ。
このデバイスには画面がない。通知も来ない。あるのは、24時間365日、心拍変動や睡眠の質を測定し続けるストイックな機能だけだ。 最新の5.0モデルではバッテリーが約2週間持つようになり、充電のために手首から外す時間はほとんどなくなった。さらに「生物学的年齢」の測定も可能になり、自分の脳と体が実年齢より若いかどうかも可視化できる。
毎朝、アプリがあなたの「リカバリー(回復度)」を赤・黄・緑の3色で判定してくれる。 「赤(回復不足)」なら、無理な仕事は断って早く寝る。「緑(準備万端)」なら、重要な決断を下す。 自分の燃料残量を知らずにアクセルを踏むのは自殺行為だ。「寝てない自慢」をする同僚の声には耳を塞げ。プロフェッショナルであるあなたは、手首の黒いバンドが示すデータだけを信じ、静かに最高のラップタイムを叩き出すのだ。