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それは「食品」ではない。工業的に合成された食用物質だ【『不自然な食卓』1/6】

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「加工」と「超加工」の決定的な違い

まず、言葉の定義を明確にしておこう。「加工食品」そのものが悪なわけではない。人類は何万年もの間、食品を加工してきた。肉を焼く、魚を干す、そして穀物を蒸してカビ(麹)を生やし、酵母の力で液体へと変化させる「発酵」。これらは食材の栄養価を高め、保存性を良くするための、人間と微生物による神聖な共同作業であり、れっきとした「料理」である。私たちは自然のプロセスに敬意を払い、時間をかけてその恩恵を受け取ってきた。

だが、今コンビニエンスストアを埋め尽くしているものは、それとは似て非なるものだ。医師であり科学者のクリス・ヴァン・トゥレケンは、著書『不自然な食卓』の中で、それらを「超加工食品(UPF:Ultra-Processed Food)」と定義する。結論から言おう。UPFは「食べ物」ではない。それは、安価なトウモロコシや大豆から抽出したデンプンや油を、加水分解や水素添加といった激しい化学処理で分解し、着色料と香料で再構築した「工業用食用物質」である。そこには、微生物の息吹も、素材の面影も存在しない。あるのは、効率とコスト削減という冷徹な計算式だけだ。

プラスチックと同じ製造工程

さらに恐ろしいのは、その製造プロセスだ。同書によれば、UPFの多くは「エクストルージョン(押し出し成形)」という技術で作られている。材料をドロドロのペースト状にし、高温高圧の機械に通して、爆発させるように膨らませる。信じられないかもしれないが、これはプラスチックのおもちゃや梱包材の発泡スチロールを作るのと全く同じ機械、同じ工程だ。

素材の原型は跡形もなく破壊され、繊維は断ち切られ、栄養素は消滅する。残るのは、カロリーだけの抜け殻だ。そこに化学的な「ビタミン」を添加し、「香料」で偽の匂いをつけ、「着色料」で美味しそうな色に染める。これを「食べ物」と呼ぶのは、あまりにも野菜や肉、そして料理人に対して失礼ではないだろうか。私たちは知らず知らずのうちに、栄養価のある食事ではなく、美しく彩色されたスポンジを食べているに過ぎないのだ。

台所にないものは「食べ物」ではない

では、どうやって「食品」と「食用物質」を見分ければいいのか。方法は極めてシンプルだ。パッケージの裏面にある原材料表示を見ればいい。そこに、一般家庭の台所にないものが一つでも書かれていたら、それは十中八九UPFだ。「果糖ブドウ糖液糖」「タンパク加水分解物」「乳化剤」「増粘多糖類」。これらは食材ではない。化学プラントで作られる工業用素材だ。

祖母がアップルパイを作る時、リンゴと小麦粉とバターは使うが、「加工デンプン」や「光沢剤」を入れるだろうか? 絶対に入れない。企業がこれらを入れる理由は、味が良くなるからでも、健康的だからでもない。単に「コストが安く」「棚持ちが良く」「輸送に耐えられる」からだ。消費者の健康ではなく、株主の利益のために設計されたその物質を、私たちは「食品」と錯覚して口に運んでいる。私たちは食べる時、もっと疑り深くあるべきだ。

同意なき「人体実験」からの脱出

著者は自らの体を張って1ヶ月間のUPF生活を送り、脳の配線が変わってしまうほどの有害性を証明した。だが、恐ろしいのは、私たち全員が知らぬ間にこの巨大な実験の被験者にされていることだ。人類が進化の過程で一度も口にしたことのない化学物質の複合摂取が何をもたらすのか。その結果(肥満、癌、うつ病の増加)についての因果関係や強い相関関係のレポートが多々上がっている。

この実験から降りる方法はただ一つ。「食用物質」を買わないことだ。私が提案する脱出への切符は、シンプルに『マルドン』のような良質な塩での味付けだ。 UPFの濃い味付けに慣れた舌は、最初は素材の味を物足りなく感じるかもしれない。だが、マルドンの結晶が舌の上で弾け、焼いた肉や野菜の旨味を引き出した瞬間、脳は「本物のデータ」を受け取る。 複雑なソースもドレッシングもいらない。良い塩さえあれば、私たちは工業製品から卒業し、人間らしい食卓を取り戻すことができるのだ。

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