真の富のポートフォリオを完成させる【『THE WEALTH LADDER』6/6】
お金の階段を登るために目に見えない資産を切り売りしていないか
私たちは日々、少しでも早く資産の階段を登ろうと、節約に励み、副業に時間を割き、自己投資を続けている。しかし、その過程で睡眠時間を削り、友人からの誘いを断り、身体に不調を感じながらも無理をして働き続けてはいないだろうか。
現代社会において、個人の豊かさは銀行口座の残高や保有する株式の評価額という「数字」だけで測られがちである。だが、どれほど強固な経済的基盤を築いたとしても、それを楽しむための身体がボロボロであったり、喜びを分かち合う相手が誰もいなかったりすれば、その人生はひどく貧しいものになってしまう。私たちは資産形成という名のもとに、目に見えないもっと大切な資産を不当な安値で切り売りしているのではないだろうか。
経済的自立を支える残り3つの富を構築できているか
『THE WEALTH LADDER』著者、データサイエンティストのニック・マジューリは、私たちが目指すべき真の豊かさは、決して「経済的な富」だけでは完成しないと断言している。同氏は人生のポートフォリオを構成する要素として、
- 「経済的な富」
- 「社会的な富」: 家族や友人との深いつながり
- 「精神的な富」: 他人と比較することなく自分の現在地を肯定できる心の平穏
- 「身体的な富」: 日々の活動を制限なく楽しむための健康と活力
という1つの財務的資産と3つの非財務的資産の重要性を説いている。
これら4つの富は、どれか一つでも欠ければ人生全体の幸福度が著しく低下してしまう。金融資産を増やすことだけに偏重した戦略は、いずれ自らの人生の屋台骨を崩すことになるのだ。
身体という最大の資本をすり減らすタイパの罠
タイパを追求するあまり、私たちは「休息」や「運動」という、目先の利益を生まない時間を極端に軽視する傾向にある。しかし、4つの富の中でもすべての土台となるのは、間違いなく「身体的な富」である。どれほど優秀な頭脳や莫大な資金を持っていたとしても、身体のエネルギーが枯渇していれば、質の高い意思決定を下すことも、経験を心から楽しむこともできない。
自分の身体というエンジンに対して、適切な燃料を与え、定期的なメンテナンスを行わずに高出力を出し続けることは不可能である。若いうちは無理がきいても、身体的な負債は複利で膨れ上がり、人生の後半で深刻な健康被害という形で一気に請求書が回ってくる。お金を増やすために健康を失い、後になってその健康を取り戻すために莫大なお金を支払うという愚行を、私たちは今すぐ断ち切らなければならない。
日々のエネルギー残量を可視化して最適に配分できるか
冒頭の問いに戻ろう。目に見えない資産の切り売りを防ぎ、富の階段を持続可能なペースで登り続けるためには、金融資産の残高を確認するのと同じように、自分自身の「身体的エネルギーの残量」を毎日厳密にモニタリングする必要がある。今日はどれだけの負荷をかけてもよいのか、あるいは積極的に休息をとるべきフェーズなのか。自分の現在地を正確に知ることが、すべての戦略の出発点となる。
テクノロジーが発達した現代において、自分の身体が発する微細なサインを感覚だけに頼る必要はない。日々の心拍数変動や睡眠の質から、その日のエネルギー残量と回復度合いを客観的なデータとして可視化してくれる上質なスマートウォッチは、単なる時計ではない。それは、あなたが一生付き合っていく身体という最強の資本をマネジメントし、真の富のポートフォリオを完成させるための、最も投資対効果の高い専属のトレーナーとなるはずだ。
『THE WEALTH LADDER』シリーズ (全6回)




