眠りが感情を整えアイデアを生む【『睡眠こそ最強の解決策である』4/6】
悩みを抱えたまま夜遅くまで起きていないか
仕事で重大なミスをしてひどく落ち込んだ日や、画期的なアイデアがどうしても浮かばずに煮詰まっている夜。私たちは、その問題になんとか決着をつけようと、夜遅くまでパソコンの画面を睨み続けたり、ベッドの中で堂々巡りの思考を繰り返したりする。問題が解決していないまま眠りにつくことは、多くの人にとって一種の逃げや時間の無駄のように感じられるからだ。
しかし、そのようにして起き続けていても、良い解決策が浮かぶことは滅多にない。むしろ疲労によって視野は狭くなり、不安や焦りばかりが膨れ上がっていく。私たちが直面している複雑な悩みや創造的な壁は、起きている間の論理的な思考力だけでは突破できないことが多い。そんなとき、私たちが最も頼りになる相棒は、ほかならぬ睡眠なのである。
レム睡眠という夜間の無料セラピー
マシュー・ウォーカーは著書『睡眠こそ最強の解決策である』の中で、特に夢を見る段階であるレム睡眠が、私たちの感情と創造性に驚くべき恩恵をもたらしていると解説している。同氏によれば、レム睡眠は脳内で行われる毎晩の無料セラピーのようなものである。
私たちが日中に経験した辛い出来事や強烈な感情的ストレスは、レム睡眠の間に安全な環境で処理される。脳は記憶に刻まれた痛みや苦しみだけを和らげ、出来事の事実だけを安全に保存し直してくれるのだ。昔から一晩寝れば気が楽になると言われるのは、決して単なる気休めではなく、レム睡眠という高度な神経科学的プロセスが感情の浄化を行ってくれた確かな証拠なのである。
夢の中でのみ起きる情報の結合
さらに、レム睡眠は感情を整えるだけでなく、創造的な問題解決を促す、強力な培養器としても機能する。日中に大量の情報をインプットしても、それらは頭の中にバラバラに散らばっているだけだ。しかしレム睡眠中の脳は、起きているときには決して結びつかないような遠く離れた情報同士を、次々と衝突させ、結合させていく。
歴史上の偉大な発見や芸術的なひらめきが、眠りから覚めた瞬間に生まれたというエピソードが多いのは偶然ではない。脳は私たちが眠っている間に、論理の枠組みを外し、これまで気づかなかった新しいつながりやパターンを自動で探索しているのだ。アイデアに行き詰まったとき、無理に起き続けて考えを捻り出そうとするのは、脳の創造的なプロセスの稼働を自ら止めてしまう行為に等しい。
無意識の力に委ねてブレイクスルーを生めるか
あなたが夜遅くまで悩み続けているその問題は、起きている間の意識的な努力だけで解決できるものだろうか。私たちが本当にクリエイティブな成果を出し、感情のバランスを保つためには、自分の頭だけでコントロールしようとする傲慢さを捨て、眠りという無意識のプロセスにすべてを委ねるマインドセットが不可欠である。
無意識の力を活用するための確かなステップとして、情報を徹底的に集めた後は、あえてその問題から完全に離れ、無意識に処理を任せることが不可欠であると説いた歴史的名著、ジェームス・W・ヤングの『アイデアのつくり方』へと手を伸ばしてみてはどうだろうか。眠ることは決して受動的で怠惰な時間の浪費ではない。それは、あなたの脳が最もアクティブに問題を解決し始める、最高にクリエイティブな時間なのだ。
『睡眠こそ最強の解決策である』シリーズ (全6回)




