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寝ている間に脳は学習している【『睡眠こそ最強の解決策である』2/6】

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徹夜の努力はすべて無駄になる

資格試験の前日や重要なプレゼンの前夜、私たちは少しでも多くの知識を頭に詰め込もうと、徹夜で机に向かうことがある。ぎりぎりまで時間を有効活用しているつもりかもしれないが、脳科学の観点から見れば、これほど非効率で無駄な努力はない。なぜなら、人間の脳は起きている間に情報を収集することはできても、それを確実に記憶として定着させることはできないからだ。

私たちは、テキストを読んだり資料を暗記したりした瞬間に学習が完了したと思い込んでいる。しかし、その状態の記憶は極めて不安定であり、脳の一時的な保存領域に置かれているに過ぎない。もしそのまま眠らずに新しい情報を詰め込み続ければ、一時保存領域の容量はすぐに限界を迎え、せっかくインプットした知識も次々とこぼれ落ちて消え去ってしまうのである。

睡眠は情報の保存ボタンである

神経科学者であるマシュー・ウォーカーは、著書『睡眠こそ最強の解決策である』の中で、記憶の定着における睡眠の決定的な役割を、パソコンの保存ボタンに例えて説明している。日中に学習した新しい情報は、脳の海馬という一時保存領域に蓄えられる。しかし、そのままではパソコンの電源を切った瞬間にデータが消えてしまうのと同じだ。この脆い記憶を、大脳皮質という安全な長期保存領域へと転送し、しっかりと定着させるプロセスが、私たちが眠っている間にのみ行われているのである。

同氏によれば、睡眠中の特定の段階において、脳は日中に蓄積した膨大な情報の中から重要なものとそうでないものを選別し、必要な記憶だけを強固に結びつけるという驚くべき作業を自動で行っている。つまり、学習の本当の仕上げは、机に向かっているときではなく、ベッドで眠っているときにこそ行われているのだ。睡眠を削って学習時間を増やすことは、保存ボタンを押さずに文書を作成し続けるようなものであり、最終的にはすべてを失う結果を招くのである。

学習の前にも十分な睡眠が必要だ

さらに重要なのは、学習した後に眠ることだけでなく、学習する前に十分な睡眠をとっておくことも不可欠だという事実である。睡眠不足の状態で学習に臨むことは、一時保存領域である海馬の機能が著しく低下した状態で新しい情報を処理しようとするようなものだ。どれほど優れた教材を使い、どれほど集中しようと努力しても、脳そのものが情報を受け入れる準備ができていなければ、知識はほとんど定着しない。

真に効率的な学習や能力開発を目指すのであれば、起きている時間の努力だけを見直すのではなく、睡眠という物理的な脳のメンテナンスを戦略の中心に据えなければならない。まず十分な睡眠で脳の吸収力を最大化し、質の高いインプットを行う。そして再び眠ることで、記憶を確実に定着させる。この睡眠を挟んだサイクルを回すことでのみ、私たちは自らの能力を飛躍的に向上させることができるのだ。

脳のメカニズムを理解し結果を出せるか

冒頭の問いに戻ろう。あなたが徹夜で知識を詰め込もうとしているその努力は、脳のメカニズムを無視した非合理的な行動に過ぎない。私たちが本当に質の高い学習効果を得るためには、睡眠を削る根性論を完全に捨て去り、眠っている間に脳が行う記憶の定着プロセスを最大限に活用するマインドセットが不可欠である。

科学的な根拠に基づいた能力開発の次なるステップとして、ジョン・J・レイティによる『脳を鍛えるには運動しかない』は、身体を動かすことがいかに脳の回路を物理的に強化し、記憶力を高めるかを教えてくれる一冊だ。気合や根性に頼るのをやめ、まずは今日の睡眠時間を確保してほしい。脳のメカニズムに沿った正しい休息をとったとき、それが最高のパフォーマンスの始まりだ。

『睡眠こそ最強の解決策である』シリーズ (全6回)

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