WORK
PR

回り道こそが最短ルートだ。退屈な「趣味」が本業を救う【『Steal Like an Artist』2/3】

yworks21@gmail.com
本ページはプロモーションが含まれています

「先延ばし」は生産的な戦略である

ビジネスの世界では「選択と集中」が美徳とされる。一つのプロジェクトに全精力を注ぎ、脇目も振らずにゴールを目指すことがプロの流儀だと教わってきた。しかし、『Steal Like an Artist』において、著者オースティン・クレオンはその常識を疑う。彼は「生産的な先延ばし(Productive Procrastination)」を提唱する。

一つの仕事に行き詰まった時、無理に机にしがみついても良い結果は生まれない。そんな時は、別のプロジェクト(サイドプロジェクト)に逃げればいい。文章を書くのに疲れたら、ギターを弾く。ギターに飽きたら、絵を描く。絵に飽きたら、散歩に行く。これらは逃避ではない。脳の違う部位を使うことで、行き詰まっていた回路を休ませ、無意識下で解決策を探らせる高度な戦略だ。同氏は言う。「退屈な時こそ、脳は最も創造的になる」。いわゆるデフォルト・モード・ネットワークというやつだ。焦って答えを出そうとするのではなく、あえて「彷徨う」時間を許容できるか。それが凡人と達人の分かれ目となる。

趣味を捨てるな、すべてを維持せよ

多くの人は、大人になると「趣味」を捨ててしまう。「そんなことをしていても金にならない」「時間の無駄だ」と自分に言い聞かせる。だが、同氏は強く警告する。「自分のどの部分も捨ててはいけない(Don’t throw any of yourself away)」。

一見、本業とは無関係に見える趣味が、実は本業に不可欠な栄養を与えていることが多い。スティーブ・ジョブズにとってのカリグラフィーがそうであったように、点と点は後になって繋がる。複数の情熱を持つことは、リスクヘッジでもある。一つの分野で挫折しても、別の分野が心の支えとなり、創造性の源泉となるからだ。あなたの持っている雑多な興味、脈絡のない好奇心。それらはノイズではなく、あなたというクリエイターを形成する重要な構成要素なのではないか。

インターネットは検索する場所ではない

現代人は、答えを求めてすぐに検索窓にキーワードを打ち込む。しかし、同氏が推奨するのは「答えのない探索」だ。何か特定の目的を持って調べるのではなく、ただ好奇心の赴くままに情報の海を泳ぐこと。

彼は「Googleですべてを検索しろ」と言うが、それは正解を探すためではない。自分の興味のルーツを掘り下げ、意外な繋がりを発見するためだ。偶然の出会い(セレンディピティ)は、効率を追求した検索からは生まれない。図書館の書架の間をあてもなく歩くように、デジタル空間でも「迷子になる」技術が求められている。

ポケットの中に「無限の書架」を持つ

複数のプロジェクトを行き来し、好奇心のままに彷徨うために、現代において最も強力な武器となるのが『Kindle Paperwhite』だ。これは単なる読書端末ではない。数千冊分の「他人の脳味噌」を持ち運べる、無限の書架である。

気になった本はとりあえず入れておく。読む気分でなければ、別の本に移ればいい。この「つまみ食い」の自由こそが、脳を活性化させる。紙の本も素晴らしいが、複数のジャンルを横断し、キーワードで思考をリンクさせる機動力において、デジタルの右に出るものはない。常にポケットに図書館を入れておけ。そして、仕事に行き詰まったら、その小さな画面の中で思い切り道草を食えばいい。その回り道こそが、実はクリエイティビティへの最短ルートなのだ。

Recommend
こちらの記事もどうぞ
記事URLをコピーしました