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資源は限られているという嘘【『無限の始まり』5/6】

kotukatu
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限りあるパイを奪い合っていないか

ビジネスの現場において、私たちは無意識のうちに「世界はゼロサムゲームである」と思い込んでいる。市場の規模、会社の予算、出世のポスト、あるいは自分の持ち時間。すべての資源にはあらかじめ上限が定められており、誰かが得をすれば必ず誰かが損をする構造になっていると信じているのだ。タイパやコスパを血眼になって追求するのも、この「限られたパイをいかに他者より効率的にかすめ取るか」という焦燥感に根ざしている。

しかし、この「資源は有限であり、私たちはそれを奪い合って消費していくしかない」という悲観的な世界観は、私たちの行動を極端に萎縮させる。パイが固定されていると信じれば、新しい価値を生み出すための挑戦よりも、今あるポジションを守り抜くための保守的な立ち回りが優先されてしまうからだ。この奪い合いのゲームに終始している限り、組織も個人もジリ貧になる運命から逃れることはできない。

知識がただの物質を「資源」に変える

『無限の始まり』の著者、デイヴィッド・ドイッチュは、資源が有限であるという一般的な常識を、物理学の視点から完全にひっくり返している。同氏によれば、自然界に最初から「資源」という形で存在している物質など一つもない。ある特定の物質を資源へと変えるのは、その使い道を発見した人間の「知識(良い説明)」だけである。

たとえば、ウランという物質は、人類が核分裂の知識を発見するまでは、ただの役に立たない放射性の石ころに過ぎなかった。太陽の光も、ソーラーパネルの知識が生まれるまでは単なる天候の一部であった。資源を枯渇させるのも、新しい資源を生み出すのも、すべては私たちの「知識」次第なのである。したがって、人間が新しい知識を創造し続ける能力を持つ限り、物理的なリソースの上限を心配することはナンセンスなのだ。

富とは「物理的変化を引き起こす能力」である

同氏はさらに、「富」の定義そのものを再構築している。富とは、銀行口座にあるお金の額や、所有している土地の広さのことではない。富とは「自分たちが望む物理的な変化を引き起こすための、すべてのレパートリー」のことである。そして、その変化を引き起こす最大の源泉が、先ほどから述べている「知識」なのだ。

この視点に立てば、ビジネスの目的は「限られた予算の奪い合い」から「新しい変化(富)の創造」へと劇的に変わる。既存の市場シェアを奪い合うのではなく、これまで見過ごされていた顧客の課題(ただの石ころ)を見つけ出し、新しいアイデアやテクノロジー(知識)を掛け合わせることで、全く新しい市場(資源)を創り出す。知識が存在する限り、私たちが生み出せる富にはいかなる物理的な限界も存在しないのである。

ゼロサム思考を捨て、豊かさを創り出せるか

冒頭の問いに戻ろう。与えられたパイの中で効率よく立ち回ろうとするゼロサム思考は、あなた自身の無限の可能性に自ら蓋をする行為である。私たちが本当に注力すべきは、節約や効率化といった「消費を遅らせる」ためのテクニックではなく、新しい知識を獲得し、これまで価値のなかったものから富を創り出す「創造」のプロセスなのだ。

そのための極めて実戦的な自己投資として、人類が直面するエネルギーや水、食糧の不足といった問題は、テクノロジーと知識の掛け合わせによってすべて解決可能であると証明した名著、ピーター・ディアマンディスの『楽観主義者の未来予測』へと手を伸ばしてみてはどうだろうか。読書を通じて「世界はより豊かになる」という強靭な楽観主義を脳にインストールし、現場のビジネスにおいて新たな価値の創造に挑む。この知的な反復運動こそが、奪い合いの虚しいゲームから抜け出し、あなた自身の手でパイを無限に拡大し続ける最強の武器となるはずだ。

『無限の始まり』シリーズ (全6回)

限界は存在するという錯覚【『無限の始まり』1/6】
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確実な正解という幻想を捨てろ【『無限の始まり』2/6】
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変化を恐れる組織の末路【『無限の始まり』3/6】
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人間という最強の万能計算機【『無限の始まり』4/6】
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思考を支配するウイルスの正体【『無限の始まり』6/6】
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