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変わらないという宿命論を打ち破れ【『ファクトフルネス』6/6】

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あの人たちはどうせ変わらないと諦めていないか

仕事やプライベートにおいて、私たちはたびたび、あの会社の企業体質は古いから絶対に変わらない、あの世代の人間はどうせ理解してくれないといった諦めの言葉を口にする。ある集団が持つ文化や価値観は、彼らのDNAや歴史に深く刻み込まれたものであり、決して変化することはないという強い思い込みだ。タイパを重視する社会では、変化に時間のかかる相手を説得する労力を無駄と考え、最初から諦めてしまうほうが効率的だと見なされがちである。

しかし、このどうせ変わらないという冷笑的な態度は、世界が実際に前進しているという事実から私たちの目を完全に背けさせる。あらゆる物事が固定されていると信じてしまえば、社会をより良くするためのアクションを起こす意味すら失われてしまう。この諦めこそが、私たち自身の成長と組織の革新を阻む最大のブロックとなっているのだ。

宿命本能が見逃すゆっくりとした進化

医師のハンス・ロスリングは、著書『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』の中で、人や国、宗教や文化のあり方は生まれつき決まっており、決して変化しないと思い込む人間の性質を宿命本能と呼んでいる。岩や石のような自然の物質であれば、その性質が変わることはない。しかし、人間の集団が作り出す文化や社会システムは、決して固定された岩石ではない。

同氏は、アフリカの経済成長や、世界の多くの国々における女性の社会進出のデータを例に挙げ、いかに私たちが文化の不変性という幻影に騙されているかを証明している。かつては伝統的で保守的だと思われていた国々も、経済的な豊かさとともに劇的なスピードで家族のあり方や価値観を変化させている。変化がゆっくりとしているからといって、変わっていないことには決してならない。宿命本能は、この確実で静かな進化の足音を私たちの耳から遠ざけてしまうのだ。

知識のアップデートを怠るという最大のリスク

宿命本能に支配されることの最も恐ろしいリスクは、自分自身の知識をアップデートする努力を放棄してしまうことだ。かつて学校で習った世界の知識や、過去のビジネスの成功体験にいつまでもすがりつき、それが永遠に通用する真理だと思い込んでしまう。しかし、社会の価値観や市場のルールは、私たちが気づかないうちに少しずつ、しかし確実に書き換えられている。

あなた自身の祖父母の世代が持っていた価値観と、現在のあなたの価値観を比べてみてほしい。わずか数十年の間に、働き方やジェンダーに対する認識は想像を絶するほど変化しているはずだ。文化や伝統でさえ、その時代を生きる人々の環境に合わせて常にアップデートされている。変わらないものなど何一つないという事実を受け入れ、自分自身の頭の中にある古い知識のデータベースを定期的に書き換え続けることでのみ、私たちは時代の変化に適応することができるのだ。

固定された運命を否定し、自らの成長を信じられるか

冒頭の問いに戻ろう。あなたがあの人は変わらないと切り捨てた相手も、あるいはこれ以上成長できないと思い込んでいるあなた自身も、決して固定された運命に縛られているわけではない。私たちが前を向いて歩き続けるためには、自らの宿命本能の存在を自覚し、どんなにゆっくりであっても変化は必ず起きるという事実をデータとともに信じ抜くマインドセットが不可欠である。

キャロル・ドゥエックによる世界的ベストセラー『マインドセット「やればできる!」の研究』は、自らの殻を破るための確かな道標となる。人間の能力や性質は生まれつきの才能で決まるという固定された宿命論を完全に否定し、成長の可能性を信じることで人はより高い成果を出せると証明している。固定された運命など存在せず、すべては変化し成長し続ける。その事実に触れることが、あなたの組織と自分自身に対する見え方を静かに、しかし確実に変えていくはずだ。

『ファクトフルネス』シリーズ (全6回)

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