「即レス」は安売りの証だ。あえて「接続を断つ」ことで価値を高騰させよ【『権力に翻弄されないための48の法則』4/6】
「常時接続」は、あなたの価値を暴落させる
経済学には、残酷なまでに絶対的な「需給の法則」が存在する。「供給過多になれば、価格は暴落する」。 これは人間市場においても同様だ。 あなたがどれほど高性能なスペックを持っていたとしても、いつでも会議に呼び出せ、深夜でも即レスし、誰の誘いにも乗る状態(高可用性)を維持していれば、周囲はあなたを「無料のWi-Fiスポット」のように扱い始める。
『権力に翻弄されないための48の法則』の著者、ロバート・グリーンは、第16の法則で「不在を用いて敬意を高めよ」と説く。 太陽ですら、毎日照りつければ人々は日陰を求める。しかし、長い梅雨のあとに顔を出せば、人々はそれを崇める。 あなたが軽んじられているのは、能力が低いからではない。「供給しすぎ」なのだ。 常にオンラインであることは、親切心ではない。「私には他にやるべき重要事項がなく、暇を持て余しています」という、自身の無価値さを宣伝する行為に他ならない。
「レアメタル」になるか、「水道水」になるか
古代メディアの王デイオケスは、このバグをハックすることに成功した。 彼は王位に就いた瞬間、宮殿の奥深くに引きこもり、一切の謁見を禁じた。 国民はパニックになった。「王はどうしているのか?」「我々を見捨てたのか?」 この「不在」という空白が、人々の想像力を掻き立てた。姿が見えないことで、人々は勝手に彼を神格化し、畏敬の念を抱くようになったのだ。
現代のオフィスでも同じだ。 常にデスクにいて、誰にでも愛想を振りまく人間は「水道水」だ。あって当たり前、なくなればクレームが来るが、感謝されることはない。 一方、重要な局面でしか現れず、普段は何をしているか謎めいている人間は「レアメタル」だ。 彼らが会議で口を開くと、周囲は静まり返る。「この希少なリソースを無駄にしてはいけない」という心理的バイアスがかかるからだ。 カリスマとは、才能の別名ではない。計算された「欠乏(欠品)」が生み出すプレミアム価格のことだ。
「既読」をつけるな、飢餓感を作れ
もしあなたが「信頼を得るために即レスする」という戦略をとっているなら、今すぐコードを書き換えるべきだ。 即レスが評価されるのは、新卒かアシスタント(下請け)だけだ。権力を握る側に行きたいなら、他人の時間軸で動いてはならない。
一流のビジネスマンは、意図的に返信を遅らせる。 それは忙しいのもあるが、「私の時間は、あなたの時間よりも単価が高い」という暗黙のメッセージを送っているのだ。 電話に出るな。メールは即座に返すな。 あなたが一時的に「オフライン」になることで、相手の脳内に「彼は今、何か重要なプロジェクト(あるいは自分より重要な人物)と向き合っているに違いない」という幻想を植え付けるのだ。 相手を待たせ、不安にさせ、飢餓感を作れ。その後に投下されるあなたの言葉は、通常の何倍もの重みを持って相手に刺さる。
物理的に「通信」を遮断し、ブラックボックス化せよ
とはいえ、ポケットの中でスマホが震えれば、条件反射で手に取ってしまうのが現代人の悲しい習性だ。 精神力で無視するのは不可能だ。物理的な遮断装置(ジャマー)が必要になる。 私が推奨するのは、軍事レベルのセキュリティグッズ、『Mission Darkness Faraday Bag(電波遮断ポーチ)』である。
もともと、車の鍵のリレーアタック対策に買ったつもりだったが、実質的に外出先用『Kitchen Safe』である。
このポーチにスマホを入れた瞬間にWi-Fi、Bluetooth、GPS、携帯回線、あらゆる電波を物理的に遮断する特殊な袋だ。 「機内モード」ではない。「物理的な圏外」だ。 重要な思考作業をする時、あるいは単に「不在」を演出したい時、スマホをこの袋に放り込め。 誰からの通知も、あなたを妨害することはできない。 上司が「連絡がつかない!」と騒ぐかもしれない。だが、数時間後に袋から取り出し、「集中して作業しておりました」と一言返せばいい。 その「繋がらない時間」こそが、あなたを単なる便利屋から、アンタッチャブルな「聖域」を持ったプロフェッショナルへと変えるのだ。