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「自分探し」は若者の特権ではない。40代からの「エクスプローラー」入門【『LIFE SHIFT』3/6】

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「いい歳をしてフラフラするな」という暴言

「自分探し」や「放浪」は、責任のない若者だけに許されたモラトリアムだと思われてきた。大人が仕事を辞めて旅に出たり、留学したりすれば、「ドロップアウトした敗残者」というレッテルを貼られるのがオチだ。しかし、『LIFE SHIFT』において著者リンダ・グラットンは、この「エクスプローラー(探検者)」というステージこそが、全世代にとって必須になると主張する。

なぜなら、寿命が延び、変化が激しい時代において、20代で決めた進路が100歳まで通用するはずがないからだ。私たちは人生のどこかで、必ず立ち止まり、周囲を見渡し、次の目的地を探す「探検」の期間を持たなければならない。それは逃避ではなく、次の山を登るための戦略的な「ベースキャンプ」の設営なのだ。

迷子になることが、最短のルートになる

「探検」の期間は、一見すると非効率で無駄に見える。収入は途絶え、キャリアは中断し、何者でもない自分に不安を感じるだろう。しかし、この「無駄」の中にこそ、次のステージへの種が埋まっている。普段会わない人種と交わり、全く違う価値観に触れることでしか、イノベーション(変身)は起きない。

著者は、18歳〜30歳だけの特権だったこの期間を、40代、50代、あるいは70代でも持つべきだと説く。長年勤めた会社での常識が、世間の非常識になっていないか。自分のスキルは、社外でも通用するものなのか。それを確認するためには、一度レールから外れて、荒野を歩いてみるしかない。迷子になることは恥ではない。地図を持っていないことに気づかずに歩き続けることの方が、よほど恐ろしい。

孤独な実験室を持て

エクスプローラーの期間に必要なのは、大掛かりな世界一周旅行だけではない。週末を使った副業のトライアルや、地域のコミュニティへの参加といった「小さな実験」も立派な探検だ。重要なのは、今の自分の肩書きや立場を忘れ、素っ裸の人間として何ができるかを試すことだ。

この実験期間において、失敗はデータであり、資産となる。「やってみたけど向いていなかった」という発見は、「やるべきではなかった」という後悔よりも遥かに価値がある。同氏は、人生を硬直的な「計画」ではなく、柔軟な「実験」の連続として捉え直すことを推奨する。私たちは皆、自分の人生という実験室の研究員なのだ。

荒野を歩くための「航海日誌」

とはいえ、闇雲に放浪すればいいわけではない。探検には、発見したことや感じたことを記録し、自己対話するためのツールが必要だ。流れていく感情を捕まえなければ、経験は血肉にならない。

私が「大人の探検」に出るとき、必ず鞄に入れているのが『モレスキンのノート』だ。スマホのメモ機能ではダメだ。あの硬い表紙を開き、お気に入りの『ジェットストリームの多色ペン』で紙にインクを染み込ませる物理的な感触こそが、浮ついた思考を現実に繋ぎ止めてくれる。カフェの片隅で、あるいは旅先のベンチで、「自分はこれからどう生きたいのか」という青臭い問いを、恥ずかしげもなく書き殴る。その黒革の手帳に残された汚い文字の羅列こそが、AIにも誰にも奪えない、私だけの「人生の航海日誌」となるのだ。

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