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「お客様の声」は全てゴミ箱へ。Google検索だけが知っている残酷な本音【『誰もが嘘をついている』1/3】

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人間は、息をするように嘘をつく

もしあなたがマーケティング担当者や経営者で、「お客様アンケート」の結果を真に受けているなら、今すぐその紙をシュレッダーにかけた方がいい。それは資源の無駄遣いどころか、あなたのビジネスをミスリードし、破滅させる「毒入りデータ」だからだ。 元Googleのデータサイエンティスト、セス・スティーヴンス=ダヴィドウィッツは、著書『Everybody Lies(邦題:誰もが嘘をついている)』で、現代社会における最も残酷な事実を突きつける。「人は、アンケートでは平気で嘘をつく」。

例えば、アメリカの世論調査で「選挙に行きますか?」と聞くと、実際の投票率より遥かに多くの人が「行く」と答える。男性に「コンドームを使っていますか?」と聞くと、実際に売れているコンドームの数(年間11億個)より、遥かに多い回数(年間16億回)が申告される。 なぜか? 私たちは無意識のうちに「立派な人間」に見られたいという欲求、すなわち「社会的望ましさバイアス(Social Desirability Bias)」に支配されているからだ。アンケート用紙という「他人の目」の前では、誰もが「理想の自分」を演じてしまうのだ。

「デジタル自白剤」としての検索窓

では、真実はどこにあるのか? それは、あなたが毎晩こっそり叩いている、Googleの検索窓の中だ。 著者はGoogle検索を「デジタル自白剤」と呼ぶ。 誰にも言えない悩み、恥ずかしい欲望、ドロドロした偏見。私たちは、友人にもパートナーにも、そして匿名のアンケート用紙にも決して言わないことを、Googleにだけは正直に打ち明けている。

SNSを見てみよう。Facebookには「最高の夫とディナー!」というキラキラした投稿が溢れている。だが、Googleの検索データを見ると、同じ夜に「夫 嫌い」「夫 口が臭い」「セックスレス いつまで」という検索が急増しているのだ。 人々は「結婚は素晴らしい」と公言しながら、裏では「孤独を埋める方法」を必死に探している。ビジネスで勝つためには、顧客が「口で言っていること(建前)」ではなく、「指先で探していること(本音)」を見なければならない。

誰もが隠し持つ「偏見」の地図

この「自白剤」の効果は、個人の悩みにとどまらない。社会の闇すらも丸裸にする。 最たる例が、アメリカ初の黒人未統領オバマが当選した時のデータだ。世論調査では「人種差別は過去のものになった」と誰もが答えた。 しかし、検索データは全く逆の事実を示していた。オバマの演説中、全米の多くの地域で「Nワード(黒人蔑視用語) + ジョーク」という検索が爆発的に増えていたのだ。

検索データを地図に落とし込むと、人種差別的な検索が多い地域と、オバマが予想外に票を失った地域は完全に一致していた。 人々は、マイクを向けられれば「差別なんてしない」と答える。だが、自宅のPCの前では、どす黒い好奇心や偏見を隠そうともしない。 これが人間の本性だ。私たちは、自分たちが思っているほど理性的でも、道徳的でもない。ビッグデータは、私たちが目を背けてきた「無意識の怪物」を容赦なく可視化する。

直感(Gut)を捨て、実験(Test)せよ

「私の長年の勘では…」と語る上司がいたら、心の中で中指を立てていい。現代において、直感ほど当てにならないものはない。 名門大学を出たからといって仕事ができるわけではない。攻撃的な映画やゲームが犯罪を増やすわけではない。これらは全て、データ分析によって否定された「古い神話」だ。

では、どうすれば顧客の正解を知ることができるのか? 答えは「聞く」ことではない。「実験する(A/Bテスト)」ことだ。 顧客に「どっちのデザインが好きですか?」と聞いてはいけない。黙って2つのパターンを出し、どちらがより多くクリックされたかを計測するのだ。行動だけが真実を語る。 真実を知るのが怖いか? それとも、嘘にまみれた心地よい世界で、売れない商品を作り続けたいか? もしあなたが「本音の世界」で戦う覚悟があるなら、まずは人間の脳がいかにバグだらけかを知ることから始めよう。

行動経済学の名著、ダン・アリエリーの『予想どおりに不合理』は、この「嘘つきな脳」のメカニズムを解き明かす、もう一つの必読書だ。Googleのデータが示す「何(What)」と、アリエリーが示す「なぜ(Why)」を組み合わせれば、あなたはもう、顧客の嘘に騙されることはない。

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