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クローゼットは「最終処分場」ではない。あなたの寄付がゴミになる理由【『ファストファッション』1/3】

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『寄付』という名の免罪符

「着なくなった服は寄付すればいい」。そう思っているなら、あなたは善良だが、現実を知らなすぎる。 エリザベス・L・クラインは著書『ファストファッション』で、私たちが信じている「リサイクルの神話」を完膚なきまでに破壊する。

例えば、慈善団体「サルベーション・アーミー」や「グッドウィル」。人々は「ここに持ち込めば、貧しい誰かの役に立つ」と信じて服を持ち込む。だが、現実は違う。彼らの倉庫には処理能力を遥かに超える古着が雪崩のように押し寄せており、実際に店頭で売れて誰かの手に渡るのは、わずか20%以下だ。 残りの80%はどうなるか? 業界用語で「ラグ・アウト(Rag-out)」と呼ばれる、つまりは廃棄ルート行きだ。売れ残った服は巨大なプレス機で半トンのブロック状に圧縮され、「俵(ベール)」として積み上げられる。それらは二束三文で売られ、工業用ウエス(雑巾)になるか、断熱材になるか、あるいはアフリカなどの発展途上国へ輸出される。

かつてはアフリカへ送れば喜ばれたかもしれない。だが今は、現地のバイヤーたちも先進国からの「ゴミ」にうんざりしている。破れたジッパー、伸び切ったゴム、数回洗っただけで毛玉だらけになるポリエステル。『慈善活動』だと思ってやっていることは、実のところ、罪悪感を消すための『無料のゴミ処理』に過ぎないのだ。

「品質」の定義が変わった

なぜ、これほどまでに服がゴミになるのが早いのか。それは、ファストファッション業界が「品質」の定義を書き換えてしまったからだ。 かつて品質とは「長持ちすること」や「縫製がしっかりしていること」を意味した。だが今の品質とは、「客が店に返品に来ない程度」、あるいは「次のトレンドが来るまでの数回洗濯に耐えられること」だ。

実際にファストファッションの服を裏返して見てほしい。生地は透けるほど薄く、縫い目は荒く、裏地は省略されている。 クライン氏の取材に対し、ある業界関係者はこう漏らしている。「今日における品質という言葉の意味は、かつてとは全く異なる。どうやら『最低(lousy)ではない』という意味らしい」。つまり、「素晴らしい」のではなく、「文句が出ない程度のマシな服」。それが、私たちが身にまとっているものの正体だ。

計画的陳腐化の罠

さらに悪いことに、物理的に壊れる前に、私たちの心がその服を捨てるようにプログラムされている。 昔、服の流行は季節ごとだった。今は「週単位」だ。スマホを開けば、毎日何千という新作が並ぶ。これは消費者を飽きさせず、常に「今の服はもう古い」と感じさせるための仕掛けであり、『計画的陳腐化』と呼ばれる手法だ。 昨日届いたばかりのジャケットが、来週には『時代遅れ』に見える。このサイクルの中にいる限り、クローゼットは永遠に満たされず、罪悪感とゴミの山だけが高くなっていく。

日本の職人気質「クロバー」の機能美

この使い捨て文化への最大の抵抗、それは「直して着る」ことだ。 「裁縫なんて面倒だ」と思うかもしれない。だが、道具が変われば意識も変わる。私の引き出しの中にいざというときのために待機しているのが、日本の裁縫道具の原点、老舗メーカー『クロバー(Clover)のソーイングセット』だ。

見てほしい、この一切の無駄を削ぎ落としたケースを。中には、驚くほど切れ味の鋭いハサミ、決して曲がらない強靭な針、そして指に吸い付くような糸抜きのピンセットが整然と収められている。これは「学校の教材」ではない。日本の職人が極限まで実用性を高めた「小型のプロ仕様のツールボックス」だ。 ボタンが取れたら、このセットを開けてサッと直す。裾がほつれたら、自分の手で縫う。その行為は単なる節約ではない。大量消費社会のシステムに対する、静かで知的な反逆だ、とは格好つけすぎか。何にせよ、 世界に誇れる日本の道具を相棒に、服を育てながら着る。それこそが、現代における本当の「お洒落」ではないだろうか。

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