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失敗の原因を個人の不注意にすり替えるな【『失敗できる組織』2/6】

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なぜ私たちは同じミスを繰り返してしまうのか

日々の業務において、私たちはミスを撲滅するために多大なエネルギーを注いでいる。チェックリストを作成し、マニュアルを改訂し、ダブルチェックの体制を幾重にも敷く。効率よく成果を上げようとするビジネスパーソンであればあるほど、プロセスからエラーを完全に排除することに執念を燃やすものだ。しかし、どれほど厳重なルールを設けて担当者を指導しても、想定外のトラブルや似たようなミスは必ずどこかの部署で発生してしまう。

私たちが同じような失敗を繰り返してしまう根本的な原因は、失敗に対する解像度が低いことにある。単純なデータ入力のミスも、複数部門が絡む大型プロジェクトの頓挫も、未知の市場への新規参入の失敗も、すべてを一律に回避すべき悪として処理しているからだ。発生したエラーの性質を正しく見極めないまま、ただもっと注意深くやろうという精神論で片付けている限り、本当の意味でのミスの再発防止は絶対に不可能なのである。

防ぐべきミスと歓迎すべき挑戦をどう見分けるか

『失敗できる組織』著者でハーバード・ビジネス・スクール教授のエイミー・C・エドモンドソンは、私たちが直面する失敗は大きく三つのカテゴリーに分類できると提唱している。それは、基本的な失敗、複雑な失敗、そして知的な失敗である。これら三つは発生するメカニズムが全く異なり、当然ながら事前に対策すべきアプローチや事後の評価軸も変えなければならない。

基本的な失敗とは、既知の手順やプロセスからの逸脱、つまり不注意や怠慢によるヒューマンエラーであり、これはチェックリストやシステムの自動化によって徹底的に防ぐべきものである。一方で知的な失敗は、未知の領域に仮説を持って挑んだ結果としての価値ある試行錯誤を指す。そして現代において最も厄介なのが、複数の要因が予期せぬ形で絡み合い、システム全体が破綻する複雑な失敗である。

システムの欠陥を個人の不注意にすり替えていないか

現代の組織において最も深刻な病理は、この複雑な失敗を単なる基本的な失敗として処理してしまうことである。サプライチェーンの分断や、部門間での情報伝達の欠落によって引き起こされる大規模なトラブルは、明らかに組織の構造的な問題である。それにもかかわらず、私たちはしばしば、特定の誰かの不注意のせいにして片付けてしまうのだ。

複雑な失敗の真の原因であるシステムの欠陥から目を背け、末端の担当者を叱責して終わらせてしまえば、組織は何も学習しない。トカゲの尻尾切りのように担当者を交代させたり、反省文を書かせたりしても、同じ構造的欠陥が放置されている以上、遅かれ早かれ別の誰かが同じ罠に陥るだけである。こうした現実を踏まえ、同氏によれば、優秀な組織ほど、失敗が起きたときに誰がやったかという犯人探しをするのではなく、システムのどこに脆弱性があったかという構造の探求へと速やかに思考を切り替えるのである。

失敗の性質を見極めて学習の資産に変えられるか

あなたが職場で直面しているそのトラブルは、本当に単なる不注意による基本的な失敗なのだろうか。それとも、組織の構造的な脆弱性を教えてくれる複雑な失敗なのだろうか。すべてのエラーを一律に忌み嫌うのではなく、その性質を冷静に見極め、個人攻撃をやめてシステムの問題として捉え直す視座の高さが、現代のビジネスパーソンには求められている。

複雑な事象の背後にある構造的な問題を解き明かし、組織全体のシステムを根本から改善するための確かな実践書として、物事の全体像を俯瞰し、真のボトルネックを見つけ出す思考法を解説した名著、ドネラ・メドウズの『世界はシステムで動く』へと手を伸ばしてみてはどうだろうか。目の前のミスを個人の責任にして終わらせるのではなく、組織のシステムをアップデートする契機とすること。その視点の転換が、あなたのチームを真の学習する組織へと進化させるはずだ。

『失敗できる組織』シリーズ (全6回)

失敗を恐れるその正しさを疑え【『失敗できる組織』1/6】
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ミスを隠そうとする人間の生存本能【『失敗できる組織』3/6】
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「早く失敗せよ」の罠に陥っていないか【『失敗できる組織』4/6】
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自己嫌悪という最悪の現実逃避【『失敗できる組織』5/6】
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犯人探しをやめて好奇心を武器にせよ【『失敗できる組織』6/6】
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