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複雑さを有能だと勘違いしていないか【『Better Way』3/6】

kotukatu
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複雑なプロセスを優秀さの証明だと信じていないか

現代のビジネスにおいて、私たちは無意識のうちに、複雑なものほど価値があり、高度な仕事であるという思い込みに囚われている。何十ページにも及ぶ企画書、五つの部署をまたぐ複雑な承認フロー、そして専門用語が飛び交う長時間の会議。私たちは自分の仕事が誰にでもできる単純作業だと思われることを恐れ、あえてプロセスを複雑にすることで自らの専門性や優秀さを証明しようとしているのだ。

しかし、仕事のプロセスが複雑になればなるほど、エラーの発生率は跳ね上がり、本来の目的から遠ざかっていく。一つの決裁をもらうために何人ものハンコが必要なシステムは、責任の所在を曖昧にし、意思決定のスピードを致命的に遅らせるだけである。私たちは、複雑な仕事をしている自分に酔いしれるあまり、そのプロセスがいかに顧客への価値提供を遅らせているかという事実から目を背けているのである。

誰も理解できないシステムはすでに破綻している

MITスローン経営大学院教授のネルソン・P・レペニングおよびドナルド・C・キーファーは、著書『There’s Got to Be a Better Way』の中で、複雑すぎるワークフローは設計の敗北であると厳しく指摘している。同氏らによれば、優れた仕事の設計とは、新入社員であっても五分で全体像を把握でき、今誰が何をしていて、どこで作業が滞っているかが直感的に理解できる状態のことである。マニュアルを読み込まなければ理解できないような手順は、すでにシステムとして破綻しているのだ。

仕事のプロセスが不透明で複雑な状態に放置されていると、現場のスタッフは自分の作業が全体のどこに貢献しているのかを見失い、ただ目の前の作業を機械的にこなすだけの歯車となってしまう。異常が発生しても誰も気づかず、問題が限界まで膨れ上がってからようやく大騒ぎになる。複雑さは、組織の知性を奪い、深刻なトラブルを隠蔽するための最も危険な隠れ蓑なのである。

直感的に理解できないルールはすべて排除せよ

同氏らが提唱するダイナミック・ワーク・デザインの核心は、仕事を徹底的に視覚化し、シンプルにすることにある。工場の生産ラインで部品の流れが一目でわかるように、ホワイトカラーのオフィスワークにおいても、タスクの進捗やエラーの発生箇所を誰もが直感的に共有できるボードなどを導入するのだ。隠れた作業や複雑すぎる承認ルートを白日の下にさらし、不要なものを容赦なく切り捨てるのである。

複雑な手順を廃止し、誰にでもできるシンプルな形に落とし込むことは、決して仕事のレベルを下げることではない。むしろ、余計な摩擦を取り除くことで、人間が本来持っている創造的な問題解決能力を、真に重要な課題にのみ集中させるための賢明な戦略なのである。

複雑な手順を捨てて最も無駄のない経路を選べるか

あなたが時間をかけて作っているその複雑な資料や手順は、本当に価値を生み出しているだろうか。私たちが真の生産性を手にするためには、複雑さ=優秀さという古い幻想を完全に打ち砕き、誰もが理解できる直感的なシンプルさへとワークフローを再設計するマインドセットが不可欠である。

重要な仕事をやり遂げるために困難な道を選ぶ悪習を捨て、最もシンプルで無駄のない経路を見つけ出すための思考法を説いた名著、グレッグ・マキューンの『エフォートレス思考』へと手を伸ばしてみてはどうだろうか。複雑なシステムや見栄を捨てることは、一見すると非専門的で不安に見えるかもしれない。しかし複雑さを手放したとき、本当に大切な仕事に集中できる自分が現れてくるはずだ。

『There’s Got to Be a Better Way』シリーズ (全6回)

終わらない火消しを仕事と呼ぶな【『Better Way』1/6】
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壮大な改革という現実逃避【『Better Way』2/6】
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完璧な計画が常に失敗に終わる理由【『Better Way』4/6】
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終わらないマルチタスクという幻想【『Better Way』5/6】
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泥まみれの現実から目を背けていないか【『Better Way』6/6】
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