結果ではなくプロセスを磨け【『LOONSHOTS』6/6】
成功はすべて自分の実力だと信じているか
ビジネスの世界において、私たちは結果こそがすべてであるという冷徹なルールの下で生きている。新規プロジェクトが大きな利益を生み出せば、その戦略は正しかったと称賛され、立案者は優秀なビジネスパーソンとして高く評価される。逆に、どれほど緻密な計画を立てて昼夜を問わず努力したとしても、最終的な売り上げ目標を達成できなければ、そのプロジェクトは失敗の烙印を押され、担当者は能力不足として処理される。私たちは無意識のうちに、良い結果は優れた戦略から生まれ、悪い結果は劣った戦略から生まれるという単純な因果関係を信じ込んでいる。
ずさんな計画であっても偶然の追い風によって大成功を収めることもあれば、完璧な意思決定を下したにもかかわらず、不運な事故によって致命的な失敗に終わることもある。それにもかかわらず、最終的な結果の良し悪しだけでプロジェクトの価値を判断し、個人の能力を評価することは、本当に理にかなったマネジメントと言えるのだろうか。
結果の良し悪しよりも意思決定の質を問え
『LOONSHOTS<ルーンショット>』著者で物理学者・起業家のサフィ・バーコールは、結果のみに執着する組織の脆弱性を指摘し、結果重視の思考からシステム思考への転換を強く提唱している。同氏によれば、結果重視の思考に陥った組織は、失敗が起きたときに誰のせいかと犯人探しに奔走する。この文化の中では、社員は失敗を恐れてリスクを取らなくなり、革新的なアイデアは決して生まれなくなる。
一方で、システム思考を持つ組織は、結果そのものよりも、その結果に至るまでの意思決定のプロセスに鋭い目を向ける。プロジェクトが失敗した際、彼らが問うのは個人の責任ではなく、なぜそのような判断を下したのか、事前に収集すべきデータを見落としていなかったか、というシステム上の欠陥である。仮に結果が失敗であっても、その時点での情報に基づいた意思決定のプロセスが論理的で妥当なものであったならば、彼らはその挑戦を正当なものとして高く評価するのである。
偶然の勝利こそが組織のシステムを破壊する
システム思考が最も真価を発揮するのは、実はプロジェクトが失敗したときではなく、成功を収めたときである。結果重視の組織では、大きな利益という結果が出た瞬間に思考が停止する。勝てば官軍とばかりに、その成功が実力によるものなのか、それとも単なる幸運によるものなのかを検証しようとはしない。ずさんな市場調査と直感だけで進めたプロジェクトが偶然当たってしまった場合、組織はその間違ったプロセスを成功の法則だと勘違いし、次も同じように直感に頼った無謀な賭けに出るようになる。
このような間違ったプロセスによる偶然の成功を放置することは、組織のシステムを内部から静かに、しかし確実に腐敗させていく。だからこそ同氏は、真に優れた組織ほど、大成功を収めたときこそ自らの意思決定のプロセスを厳しく検証すると説く。この勝利は本当に自分たちの実力によるものだったのか。外部要因の恩恵を過大評価していないか。偶然の勝利に酔いしれることなく、プロセスというシステムを冷徹に点検し続ける態度こそが、一発屋で終わらずにイノベーションを持続させるための絶対条件なのだ。
結果という幻を捨ててプロセスを愛せるか
あなたが今、自分の関わったプロジェクトの成果を誇らしく語るとき、それは本当にあなたの優れた意思決定が生み出したものだろうか。それとも、市場の波という偶然の幸運に恵まれただけの結果を、自分の実力だと錯覚しているだけではないだろうか。私たちが複雑で予測不可能なビジネスの世界で生き残り、革新的な事業を創出し続けるためには、結果というコントロールできない幻に一喜一憂するのをやめ、自らの意思決定というシステムの質をひたすらに磨き上げるマインドセットの転換が不可欠である。
偶然と実力を切り離し、結果のバイアスから抜け出すための確かな実践書として、プロポーカープレイヤーとしての経験から不確実性の中での意思決定の質を高める手法を説いた、アニー・デュークの『確率思考: 不確かな未来から利益を生み出す』へと手を伸ばしてみてはどうだろうか。結果の良し悪しで他人を評価するのをやめ、どのようなプロセスでその結論に至ったのかを深く問うこと。結果ではなくプロセスを愛するその知的で謙虚な態度が、あなたの組織を持続的なイノベーションの揺りかごへと進化させるはずだ。
『LOONSHOTS』シリーズ (全6回)




